脂質異常症

脂質異常症健康診断でコレステロール、中性脂肪の異常を指摘される方はたくさんいますが、薬を飲んだ方がいいのか、生活習慣をどのように変えたほうがいいのか、などの疑問を持たれると思います。これらを放置すると無症状のうちに動脈硬化が進み、将来心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが高まります。どのくらいの値なら様子を見て良いのか、一度医療機関を受診して知識のある医師と相談した方が良いでしょう。

血液中の脂質の値が異常な場合、脂質異常症といいますが、いくつか種類がありLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)、non-HDLコレステロールなどの異常があります。これらはいずれも、動脈硬化と関連します。


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診断

脂質異常症は、血液検査で以下の異常が見られた場合に診断されます。

コレステロール

LDL(悪玉)コレステロールが高い場合

和食健康診断などでLDL(悪玉)コレステロールが高くて引っかかった場合、薬による治療を行うかどうか、食事指導などの生活習慣の改善で様子を見るかどうかは、どの程度動脈硬化による病気になりやすいか(リスク)により決定します。具体的には、心筋梗塞などの冠動脈疾患に将来どの程度なりやすいかというリスクで治療方法を決めます。例えば、糖尿病や腎臓病などの病気を持っている、喫煙しHDL(善玉)コレステロールの値が低い方では、将来冠動脈疾患になるリスクが高く、LDLコレステロールが120未満となるように治療を行います。一回でも心筋梗塞などの心血管疾患になったことがある方は、二次予防として厳格なコレステロール値の管理(LDL値<100)が必要となります。

LDLが高い
脂質異常症の管理目標値高コレステロール血症 治療例

薬物治療

コレステロールが高い場合

コレステロールを下げる薬は主に2種類あり、コレステロールが作られるのを抑えるスタチンという薬と腸からのコレステロールの吸収を抑える薬があります。基本的にはスタチンを処方しており、スタチンの強さに差があるためコレステロール値によって使い分けます。スタチンでもコレステロール値が低下しない場合、エゼミチブやコレバインなどの他の薬剤を併用します。

スタチン(LDLコレステロールの合成を抑える薬)

中性脂肪が高い場合

中性脂肪が高い人フィブラート薬もしくはEPA(イコサペント酸エチル)を処方します。
フィブラート薬は、中性脂肪を下げると同時に善玉コレステロールであるHDLコレステロールを上昇させる効果があります。
EPA(イコサペント酸エチル)は魚の油を原料とした製剤で、肝臓での脂肪の合成を抑えて、中性脂肪の分解を促進させます。血液を固まりにくくする作用や血管の弾力性を保つなどの作用もあります。

中性脂肪の薬

食事療法

食事療法コレステロール値や中性脂肪が高くならないようにするための食事のポイントは以下の通りです。

  1. 適切なカロリーを摂取しましょう
    1日の適切な摂取カロリーを超えた食事を取り続けると、肥満になります。
    適切な1日のエネルギー摂取量は(適正体重kg) x (身体活動量kcal)
    適正体重 (kg) は(身長) x (身長) x 22 で算出されます。
    身体活動量はデスクワーク中心の方では25-30kcal、重労働の方の場合35kcal程度です。
    例えば、身長が160cmでデスクワーク中心の方の場合は、1400-1700kcalが1日のカロリー摂取量の目安になります。
  2. 脂肪の質と量に注意しましょう
    肉類に多く含まれる飽和脂肪酸を控え、植物油や魚料理など(不飽和脂肪酸)を積極的に摂りましょう。
  3. 糖質の摂りすぎに注意しましょう
  4. アルコールの摂取を控えましょう

運動療法

運動療法運動療法は、有酸素運動と筋トレ(レジスタンス運動)を組み合わせます。

有酸素運動

  • 有酸素運動は、脂肪を燃焼し体重が減少するとともにコレステロール値が低下します。
  • 一日30分以上を、週3回以上行うことが望ましい。週合計150分以上となると良い。
  • ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなどがあります。



レジスタンス運動

  • 有酸素運動と並行して行うことで、よりコレステロール値が低下します。腕立て伏せ
  • 腕立て伏せやスクワットなどの運動を1日1〜3セット、週2〜3回の頻度で行うと良いでしょう。





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