アレルギー検査

当院で行うアレルギー検査

検査方法 イムノキャップ
ラピッドアレルゲン8
VIEW-39 単項目検査
検査結果 即日(20分) 数日~1週間 数日~1週間
測定項目数 8 39 希望に応じて
採血量 0.1ml 5-10ml 5-10ml(項目数による)
測定項目数 スギ
カモガヤ
ブタクサ
ヨモギ
シラカンバ(属)
ヤケヒョウヒダニ
イヌ皮屑
ネコ皮屑

39項目
吸入系・食物系・その他
下記参照

別項目参照
(3-6項目程度実施する)
料金 約3000円(3割負担) 約5000円(3割負担) 1項目あたり約330円
(3割負担)

当院で行うことができるアレルギー検査は、血液検査による特異的IgE抗体の測定です。
結果のすぐ判明するイムノキャップラピッドアレルゲン8と多項目を同時に検査できるVIEW-39、単項目検査を主に行なっています。イムノキャップラピッドアレルゲン8は、数滴の血液で検査を行うことができ、小さなお子様でも可能です。また結果も約20分程度でわかります。
アレルギー疾患の治療の基本は、原因物質の同定と回避ですので、これらの検査は非常に重要となってきます。

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特異的IgE抗体とは?

アレルギーの原因物質であるアレルゲンが体内に入ると、B細胞によって「特異的IgE抗体」が産生されるようになります。このような状態を「感作」と言い、アレルゲンに過敏な体質になった状態です。
感作されているだけではアレルギー症状は起こりませんが、そのアレルゲンが再度体内に入り、マスト細胞と特異的IgE抗体が結合することで、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることで、くしゃみやアナフィラキシーなどのアレルギー症状を引き起こします。特異的IgE抗体が産生されることがアレルギー反応の引き金となるため、アレルゲンを特定するのにはこの特異的IgE抗体を調べることが重要となってきます。

アレルギー検査

当院で行なっている特異的IgE抗体検査には以下のようなものがあります。

  1. イムノキャップアレルゲン8
  2. 多項目同時測定(VIEW-39)
  3. 単項目検査

イムノキャップラピッドアレルゲン8

この検査のメリットは、少量の血液(0.1ml)で行えること、結果が20分程度ですぐにわかること、などがあります。血液の量が非常に少なくて済むので、小さなお子様でも安全に行えます。対象となるアレルゲンは8項目のみで、スギ・ブタクサ・カモガヤ・ヨモギ・シラカンバの花粉系とイヌ・ネコ・ヤケヒョウダニのハウスダスト系になります。

多項目同時測定(VIEW-39)

この検査は39項目のアレルゲンを同時に調べることができます。一方で、血液量も5-10ml程度必要とし、検査結果が判明するまで数日から1週間程度かかります。結果はアレルギーの強さにより7つのクラスに分類されます。

VIEW-39のアレルゲン検査項目

VIEW39 結果の見方

判定 クラス 測定値 解説
陰性 0 0-1.39 血液中に特異的IgE抗体が存在していない、もしくは微量
偽陽性 1 1.40-2.77 微量ながら、特異的IgE抗体が存在している可能性がある
陽性 2 2.78-13.4 血液中にIgE抗体が存在
クラスが上がるにつれて、アレルギーを発症する可能性が高くなったり、症状が重くなったりする場合があります。
3 13.5-58.0
4 58.1-119
5 120-159
6 160-

クラス2~6がアレルゲンに陽性と判定

検査する項目は、大きく分けて吸入系アレルゲンと食物系アレルゲンに別れます。

単項目測定(CAP法)

個別のアレルゲンについては、以下の項目について検査が可能です。症状からあらかじめ疑わしいと考えられるアレルゲンについて検査します。最大13項目まで検査が可能で、一項目あたり330円(3割負担)です。

血清総IgE値

特定のアレルゲンに対する反応ではなく、全体的なアレルギー反応の強さや体質を示すものとして「血清総IgE値」というものがあります。
こちらは高ければ高いほど強いアレルギー反応が出ていることになります。

基準値
  • 成人の基準値は170 IU/ml以下
  • 小児は年齢が上がるとともに基準値も上昇します。
1歳未満 20 以下
1~3歳 30 以下
4~6歳 110 以下
7歳以上 170 以下

主な吸入アレルゲンとその回避方法

ダニ

一般家庭において問題となるダニとしては、ヤケヒョウダニとコナヒョウダニの2種類です。これらのフンや死骸が、アレルギーの原因物質となります。喘息・鼻炎の小児患者では80%以上が、大人でも50%以上が原因となっており、重要な吸入アレルゲンと考えられています。

花粉

スギ(ヒノキ)、カバノキ科、イネ科、ブタクサ、ヨモギが日本における5大重要花粉です。原因花粉が、スギ・ヒノキのみである患者が多いですが、イネ科などの雑草やカバノキ科などの樹木花粉が原因となっている場合もあります。

花粉は屋外アレルゲンなので回避が難しいため、以下のような回避方法でポイント押さえておくことが重要です。イネ科やキク科などの草本花粉は花粉の飛散距離(数十m)がスギ花粉より長くないので、原因花粉の群生地(土手沿いや雑草がたくさん生えている場所)に近寄らないことが大切となってきます。また普段使いのメガネでも着用することで、メガネなしの状態に比べれば目に入る花粉の数を60〜70%ほどカットすることができると言われています。

ペット

猫飼育率の高いイヌやネコの他に、ウザギやモルモットなどが原因となります。アレルゲンタンパク質は、これらのペットの皮屑・尿・唾液に存在しており、ダニと比較すると量が多く浮遊して空中をただよいやすいといった特徴があります。
回避方法としては、ペットへの接触を控える、野外での飼育にする、屋内飼育の場合はペットを寝室には入れない、などの対応策があります。

真菌(カビ)

喘息真菌(しんきん)とはカビのことで、アスペルギルス・カンジダ・アルテルナリア・マラセチアなどの種類があります。これらの真菌は、アレルギー性鼻炎だけではなく、喘息やアトピー性皮膚炎などの様々なアレルギー疾患に関与しており、種類によって関わる疾患が異なってきます。
真菌は、回避するのは難しいですが、何よりもまず室内にカビが生えにくくし、風通しをよくすることが重要となってきます。

換気虫の排泄物や虫体由来のタンパク質が原因物質となり、鼻炎や喘息を引き起こします。虫は種類が非常に多岐に渡りますが、検査で行うことができるのがゴキブリ・ガなどと限られています。日本では、ガへのアレルギーが最も高く、春や秋に増加し、アレルギー患者の30-40%が検査陽性となると言われています。
回避方法としては、ダニアレルゲン対策と同様に、換気と湿度管理、こまめな掃除が基本となります。ゴキブリアレルゲンの回避には、清掃や殺虫剤の使用により環境中のゴキブリアレルゲンの量を減らすことが重要です。ゴキブリアレルゲンは落下が早く空気中に浮遊しにくいので、空気清浄機の効果は低いと言われています。

その他

職場における数カ月から数年のアレルゲンへの感作を経て喘息を発症することがあります。
以下のものを扱う製造業で報告されています。

アレルゲンとなりうるもの

穀物粉塵、ベイスギ、イソシアネート、ホルマリン、抗菌薬、エポキシ樹脂、洗浄剤製造業で使用されるタンパク質分解酵素

食物アレルギー

食物アレルギー食物アレルギーは、約90%が学童期までに発症し、18歳以上の大人の発症は5%程度と低くなっています。卵、牛乳、小麦、大豆が多く、成長とともに自然にアレルギーがなくなることが多いと言われています。診断は、①アレルゲンとなる原因食物の摂取の後に症状が発現すること、②血液検査で特異的IgE抗体が検出されること、などにより行われます。
重要なのは、「食物アレルギーを正しく診断し、必要最低限の原因食物の除去」です。子供は心身ともに成長する大事な時期を過ごしており、栄養摂取の不足から成長障害などを起こさないように管理することが重要です。当院では、アナフィラキシーの既往のある方には、緊急時の対応薬であるエピペンを処方することが可能です。万が一誤って摂取してしまいアナフィラキシー症状がでた場合に、エピペンを自己注射することにより重篤な状態になることを防ぐことができます。

遅発性フードアレルギー検査

一般的な食物アレルギーは、アレルゲンを摂取してから数分から数十分後に症状が現れますが、遅発性フードアレルギーでは数時間から数日後に症状が現れます。また症状も多彩で以下のようなものがあります。年齢や体質のせいだと思っていた症状が、実は遅発性フードアレルギーによるものの可能性があるため、下記のような症状のある方は一度検査を受けてみることをおすすめいたします。

なお本検査は、自費診療になります。

詳細はこちら

院長からのメッセージ

診察近年はアレルギーの原因物質を特定する検査がより簡便になってきています。一方で、食物アレルギーなどでは、症状がなくても検査結果から過度な摂取回避が行われることがあります。
アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応が起こる場合には、エピペンを処方し緊急時の対処方法を勉強する必要があります。また花粉症などでは、体質を根本的に改善する舌下免疫療法の適応になることもあります。


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