のどが原因の咳

のどが原因の咳のどの奥がイガイガしたりムズムズして咳が止まらないという症状が、長引く咳ではよく見られます。のどは咳を引き起こす原因となる重要な部分です。のどの違和感と咳が一緒に出ている場合に、どのような原因が考えられるのか、またその対応について説明します。

以下のような症状に当てはまる方は、参考にしてください。

  • のどがイガイガする
  • のどがムズムズしてかゆい
  • のどに異物があり詰まったような感じがする
  • のどに違和感があり、声がかれる
  • のどにヒリヒリとした痛みがある

呼吸器内科
WEB予約

のどが原因の咳

のどが原因の咳には以下のようなものがあります。

  • アレルギーによる炎症が原因 → アトピー喘息・喉頭アレルギー・気管支喘息・咳喘息
  • 胃酸の逆流が刺激によるもの → 逆流性食道炎・咽喉頭酸逆流症
  • ウイルスや細菌感染による炎症が原因 → 咽頭炎・喉頭炎
のどが原因の咳

アトピー咳嗽(がいそう)

アトピー咳嗽(がいそう)

アトピー咳嗽は、咳症状や症状の季節性が咳喘息と共通しますが、のどのイガイガ感やかゆみが特徴的とされています。また咳は冷気・会話や受動喫煙などをきっかけに誘発されることがあります。患者さんの多くが花粉症を合併しており、鼻水がのどに垂れてさらに咳を誘発することがあります(後鼻漏)。咳喘息とは異なり、吸入気管支拡張薬は効果がありません。また肺機能検査は正常範囲内で、呼気一酸化窒素の濃度も上昇しません。そのため診断が難しい病気でもあります。
治療は、花粉症治療で使われるような抗ヒスタミン薬を使用しますが、有効率は約60%程度にとどまるため、無効例には吸入ステロイドやステロイド薬内服を行います。吸入ステロイドは、粒子径が大きいものが効果がありアドエアディスカスやフルタイドディスカスを用いることがあります。

喉頭アレルギー

喉頭アレルギーは、花粉症やダニなどの通年性アレルギーによる炎症がのど(喉頭)で引き起こされるために、喉頭の違和感と咳が長期間出る病気です。のどに痰が絡んだような感じ、かゆみ、イガイガとした感じ、チクチクとしたのどの痛みなどを感じることがあります。スギ花粉症の30-50%にこのような喉の違和感と咳の症状があることがわかっています。アトピー咳嗽と似た病気で、アトピー咳嗽では気管や気管支に好酸球性の炎症が起こるのに対して、喉頭アレルギーではのどに主に好酸球性の炎症が起こるのが特徴です。
治療は抗ヒスタミン薬が効果があります。効果が不十分の場合は、吸入ステロイドを追加します。 ただし、喉頭アレルギーはさまざまな病気が混在していることが多く、治療が困難なケースがあります。その理由の一つとしては花粉症に伴う後鼻漏で、鼻水がのどに垂れ込むことが刺激となって咳が出ていることがあります。このようなケースには、ステロイドの点鼻薬を使用します。それ以外にも逆流性食道炎の合併も見られることがあり、胃薬による治療を行うこともあります。

逆流性食道炎・咽喉頭酸逆流症

逆流性食道炎・咽喉頭酸逆流症

逆流性食道炎は、胃酸が逆流してきて食道に炎症を起こす病気で、胃酸が気管支やのどを刺激し咳を起こします。風邪を引いて咳が出るようになることがきっかけになることがあります。咳とともに胸焼け・みぞおちの痛み・酸っぱいものが上がってくるなどといった症状があります。逆流性食道炎では、会話や発声で咳が悪化する頻度が高いことが知られています。咳以外にも声がれやのどのヒリヒリした感覚を伴うことがあります。胃酸を抑える薬や胃の動きをよくする薬が咳に対して効果があります。

逆流性食道炎

気管支喘息・咳喘息

気管支喘息や咳喘息では、咳とともにのどの違和感やムズムズした感じを伴うことがあります。喘息では喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュー)があり、咳喘息は咳のみが唯一の症状の場合もあります。症状は、朝や夜に悪化することが多く、季節で変動します。また風邪をひいたり、ダニや犬・猫のフケなどのアレルギーの原因物質(アレルゲン)を吸入することで症状が悪化します。喘息の診断は、肺機能検査や呼気一酸化窒素濃度を測定し判断します。気管支喘息と咳喘息は、吸入ステロイドや吸入気管支拡張薬を使って適切に治療を行えば、多くのケースで咳はよくなります。

咽頭炎・喉頭炎

急性の咽頭炎・喉頭炎は、いわゆる風邪などのウイルス感染症にかかってのどに炎症が起こることで咳やのどの痛みが出ます。通常はこれらの症状以外にも、発熱や鼻水などの他の風邪症状を伴うことが多いです。溶連菌などの細菌感染症の場合、のどの痛みがとても強く、高熱が出ます。このような場合は、抗生物質を使用して治療します。
また喫煙や飲酒、喉頭アレルギーや逆流性食道炎によって咽頭炎・喉頭炎が慢性化(慢性の咽頭・喉頭炎)することがあります。声がかすれる、のどに違和感がある(つまった感じ・乾燥した感じ)、軽いのどの痛みなどの訴えがあります。このような場合は、うがい薬やのどの炎症をおさえる薬、ステロイドのネブライザー治療を行います。

呼吸器内科
WEB予約

keyboard_arrow_up