動物アレルギー

ペットとして飼育するイヌ・ネコ・うさぎのような小動物の皮膚やフケに対してアレルギーがある場合、咳や喘息、目のかゆみなどの症状が出ることがあります。その他にもペットを触るとかゆくなる、なめられたところが赤くなるといった皮膚の症状の場合もあります。
これらの症状はペットを飼うのをやめれば改善しますが、そうはいっても大切に育ててきた愛着のあるペットを手放すのは難しいですよね。どのような工夫をすれば、ペットのアレルギーを防いだり、症状がでないようにすることができるのでしょうか。
ここでは、ペットのアレルギーの種類や検査方法、その対応方法や治療について説明したいと思います。

当院で検査ができる動物には以下のようなものがあります。採血を行い検査します。

ここでは、代表的な動物に対してのアレルギーとその対処方法について説明します。

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ネコアレルギー

猫アレルギーの頻度は、5-20%と言われており意外に多く見られます。特に喘息などの呼吸器病を持つ人では20-30%程度に見られます。猫アレルギーの症状としては、一緒の部屋にいると目のかゆみや鼻水・くしゃみなどが出る、咳や喘鳴(ゼーゼー)・息苦しさなどの喘息症状が出る、などがあります。
猫アレルギーの原因は、Feld1(フェルドワン)というアレルゲンで、猫の唾液や毛・汗・フケに多く含まれています。
猫は毛づくろいするので、唾液に含まれるアレルゲンが毛やフケに付着し、それらが空中を舞うことで人に喘息やくしゃみなどのアレルギー症状を引き起こします。またネコはベッドや布団・こたつなどに潜り込むのが好きなので、これらに毛やフケが付着します。寝ている間に付着したアレルゲンを持続的に吸入するので、アレルギー症状を発症しやすくなります。

検査

血液検査で、猫のフケに対するアレルギー反応を見ることができます。特異的IgE抗体検査という検査で、検査結果が判明するまで約1週間かかります。検査結果は、クラス0−6の7段階で表示されます。

イヌアレルギー

犬にアレルギーのある方では、犬を触ると皮膚や目にかゆみが出たり、蕁麻疹が出ることがあります。また喘息症状が出ることもあります。
一般的に犬は屋外で飼育することが多いので、猫アレルギーよりも少ないと言われています。
犬アレルギーの原因となるタンパク質はCanf1と呼ばれ、唾液や皮膚・フケなどに含まれています。これらに触れたり、吸い込むことでアレルギー反応が起こり症状が出ます。イヌは室外で飼育することも多く、ネコに比べて犬アレルギーは少ないと考えられています。
犬アレルギーの有無は、血液検査で調べることができます。血液中に特異的IgE抗体を調べることで判明します。結果は約1週間程度でわかります。

うさぎアレルギー

うさぎアレルギー

うさぎを飼育している際に出現するアレルギー症状にはいくつか原因や種類があります。

  1. うさぎのフケや毛に対するアレルギー
  2. うさぎのエサ(チモシー)に対するアレルギー
  3. ダニアレルギー
①うさぎのフケや毛に対するアレルギー

うさぎアレルギーの原因となるタンパク質(アレルゲン)は、唾液の中に最も含まれており、その他にもフケや毛・おしっこの中に含まれます。うさぎは毛づくろいをするので、唾液の中のアレルゲンが毛に付着し、フケとともに空中を舞うことで人にアレルギー症状を引き起こします。原因となるタンパク質はOry c 3というもので、血液検査では調べることができませんが、うさぎの粗抗原(アレルギーの原因になるものとならないものの両方が含まれる蛋白質)を血液検査で調べることができます。

②うさぎのエサ(チモシー)に対するアレルギー

うさぎの代表的なエサである牧草(チモシー)は、イネ科の植物です。イネ科の植物にアレルギー反応がある場合に、目のかゆみやくしゃみ・鼻水、喘息症状などが出る場合があります。イネ科の植物にアレルギーがあるかどうかは、血液検査にて調べることができます。

③ダニアレルギー

その他にも鼻水やくしゃみの原因が、ダニアレルギーとなっていることもあります。うさぎを飼育する場合、エアコンなどで室内の温度や湿度を一定にする必要があり、これはダニの繁殖には好環境です。うさぎを飼育中に、室内で繁殖したダニが原因となってアレルギー症状が出現することもあります。ダニのアレルギー検査は、血液検査(コナヒョウダニやヤケヒョウダニ)で調べることができます。

ペット飼育する際の注意点

・布の家具(ソファー)やカーペットの使用を避ける
・生活区域を分ける(寝室に入れない)

ペットのアレルゲンは布製品やカーペットに多く付着していることがわかっています(Thorax 1998;53:33–38)。また猫は、布団やこたつなどに潜っていく習性があるため、ベッドのマットレスや掛け布団にも多く付着します。そのため寝室に入れないように工夫することも重要となってきます。人が寝る時間は長く、寝ている間に常時アレルゲンを吸入していると、いくら治療しても症状が改善しません。
また犬などでは、可能であれば屋外で飼育するのもよいでしょう。
余談ですが、ネコの中でもサイベリアンはアレルゲンの量が少ないと言われています。

布の家具(ソファー)やカーペットの使用を避ける

・寝室に空気清浄機を設置する
・週1回は掃除機をかける(HEPAフィルター付きが望ましい)

HEPAフィルター付きの空気清浄機が、猫のアレルゲンの多くを除去してくれます。猫のアレルゲンの多くは大きさが0.4μm以上で、HEPAフィルター付空気清浄機は空気中の0.3μm以上の粒子を99.97%以上捕集してくれるので、空中を浮遊する猫アレルゲンのほとんどが除去されます(Thorax 1998;53:33–38)。ただ、これは空気中を浮遊するアレルゲンで、ソファーや布団に付着したアレルゲンは除去できません。そのため空気清浄機を使用するとともに、掃除機や粘着性の掃除用品(コロコロ)などで掃除をすることも重要です。

寝室に空気清浄機を設置する

・アレルゲンを中和するエサを使用する

ネコの場合、アレルゲンであるFeld1(フェルドワン)を中和するエサが販売されています。
(https://nestle.jp/brand/purina/proplan/pp/product/cat/liveclear/)

過去の研究によると、Feld1を中和するエサをネコに与えると、3週間程度で82%のネコでアレルゲンの量が減少したと報告されています(J Feline Med Surg. 2019)。通常のエサよりもやや高価ですが、このような方法も選択肢の一つとして考えられます。

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