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喘息の調子が悪くなる原因は?—呼吸器内科専門医が徹底解説

喘息は普段は落ち着いていますが、風邪やほこりを吸ったりすると急に症状が悪化します。この悪化するきっかけは患者さんによって様々で百人十色です。ここでは、喘息の症状が悪化するきっかけとしてどのようなものがあるか、代表的なものについて解説します。

 



 

喘息が悪化・発作しやすくなる【6つの柱】

 

1) 風邪・感染症(特にライノウイルス)

 

風邪などのウイルス感染は、全年齢で最も頻度の高い悪化要因です。なかでもライノウイルスは急激な発作と関連が強いことが繰り返し報告されています。

 

 

2) アレルゲン曝露(ダニ・ペット・花粉・カビ・ゴキブリなど)

 

アレルギー体質がある人は、室内ダニ、動物抗原、花粉、カビなどを吸うと症状悪化や発作リスクが上がります。低アレルゲン環境の整備は有効です。

 

 

3) 空気環境・天候(PM2.5・煙・寒冷乾燥・雷雨喘息)

 

屋内外の大気汚染、受動喫煙、寒冷・乾燥した空気は気道を刺激します。花粉飛散期の喘息悪化(微細化した花粉粒子の大量吸入)にも注意が必要です。気象×花粉の条件が重なると短時間に多数の発作が起きます。

 

 

4) 薬剤の影響

 

風邪薬(解熱鎮痛薬)の内服で喘息症状が悪化することがあります。鼻ポリープ(鼻茸)・慢性副鼻腔炎を伴う喘息で強く悪化します。また喫煙・電子タバコも悪化のリスクです。電子タバコも喘息関連症状や増悪との関連が複数の研究で示されています。

 

 

5) 併存疾患

 

アレルギー性鼻炎/副鼻腔炎、肥満、GERD(胃食道逆流症)、不安・抑うつ、睡眠時無呼吸などは喘息の増悪リスクの上昇要因となります。適切に治すと喘息コントロールが改善します。

 

 

6) 自己管理の課題(“治療できていない喘息”)

 

吸入手技の誤り(うまく吸入ができていない)、吸入をさぼっている、診断の誤りは「悪化しやすい喘息」の要因となります。喘息増悪を繰り返す際は、まず吸入がうまくできているか、毎日きちんと吸入をしているかどうか確認します。当院では看護師が院内で吸入指導を行っていますので、確認しながら治療を行うことができます。

 

 

<喘息の悪化する原因まとめ>


 

 

<院長からのメッセージ>

 

喘息は「うまく付き合えば、日常をあきらめなくてよい」病気です。発作の多くは、原因(トリガー)を見極め、適切な治療と生活調整を行うことで確実に減らせます。当院はそのお手伝いを、呼吸器内科の専門的な視点で丁寧に行います。まずは「何が自分の発作を引き起こしているのか」を一緒に見つけることが、改善の最短ルートです。

 

 

当院の気管支喘息の解説ページも参考になります。気管支喘息のページはこちら

 

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参考情報:

① 日本アレルギー学会:「成人のぜん息/Q&A」

https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=3

② 永田真ら アレルギー 2000 49:569-576

GINA: Global Strategy for Asthma Management and Prevention

 

記事作成

名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック

院長 表紀仁

呼吸器専門医、医学博士

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