息切れ

息切れ息切れは、じっとしているときや動いたときに息苦しさを感じる状態のことを言います。息切れは、人によってその感じ方はさまざまです。また息切れに伴って動悸が出る方もいらっしゃいます。基本的には、息切れは病院を受診して問診や検査を行った方がよいケースが多く、自己判断で様子をみないほうがよいでしょう。1周間以内に急速に息が苦しくなる場合は、病院をすぐにでも受診したほうがよいと考えられます。

このページでは以下のような症状がある方は、ぜひ参考にしてください。

  • 平地を歩いていると息苦しさを感じるようになった。
  • 階段を登るのがつらくなった。
  • 息を吸っていても空気が入ってこないような感じがする。
  • 息苦しさのため同年代と同じペースで歩くことができなくなった。
  • じっとしていても息が苦しい。
  • 酸素が足りてないような感じがする。

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原因

息切れの原因となる病気

息切れは、肺や気管支の病気が主な原因となることが多いですが、実はそれ以外の原因もしばしば見られます。

原因は、呼吸器疾患とそれ以外のものに別れます。
呼吸器疾患としては、肺気腫(COPD)、間質性肺炎、気管支喘息、気管支拡張症、肺がん、胸水貯留、肺塞栓などがあります。
肺気腫は、喫煙が原因で肺の組織が壊れてしまう病気ですが、年単位で徐々に悪化していく息切れがあります。一方、気管支喘息は症状に変動があり、調子が良い時や悪い時の調子の波があり、季節や気温の影響を受けます。肺塞栓は、肺の血管に血の塊が詰まって呼吸が苦しくなる病気です。症状は急に息切れが出始め、胸の痛みや血痰を伴うことがあります。また最近では、新型コロナウイルス肺炎で発熱や咳に伴って息切れが出る方もいらっしゃいます。息切れを伴う場合は、肺炎が重度の場合があるので病院を受診し、レントゲンなどの検査を行う必要があります。
急激(1週間以内)に症状が出てきている場合には、喘息や心不全・不整脈などの急を要する病気である可能性が十分にあるので、早めに病院を受診したほうが良いでしょう。

問診・検査

まず息切れがいつから起こったのか、どのような時に起こるのか、など詳細な問診を行います。過去の病気や喫煙歴なども重要です。身体所見では、聴診で肺雑音や心雑音を調べ、加えて眼瞼結膜に貧血所見や足の浮腫などの心不全兆候がないかなど全身をよく観察します。低酸素血症(血液中の酸素の値)があるかどうか調べるため、パルスキシメーターを使い指先でSpO2を測定します。
呼吸器の病気を疑う場合は、胸部レントゲン検査、胸部CT検査、肺機能検査を行います。心不全や狭心症を疑った場合には、心電図・胸部レントゲン検査に加えて、血液検査や心臓超音波検査などを行います。そのほかの疾患を疑う場合は、血液検査でヘモグロビン値や甲状腺機能を調べることもあります。

当院で行う息切れの検査

息切れの程度

mMRCスケール

Grade 息切れの症状
0 激しい運動をした時だけ息切れがある
1 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある
2 息切れのために、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているときに、息切れのために立ち止まることがある
3 平坦な道を約90cm、あるいは数分歩くと息切れのために立ち止まる
4 息切れがひどく家からも出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある

息切れの程度を見るのに、mMRCスケールを使用します。同年代と同じペースで歩くことができるのか、着替えなどの軽動作でも息切れがあるのか、などを聞きます。mMRCは、数字が大きいほど息切れ症状が強いと判断します。

治療

息切れの治療は、その原因によってそれぞれ治療方法が大きく異なりますので、しっかりとした原因究明が大切です。 肺気腫(COPD)や気管支喘息では、吸入気管支拡張薬や吸入ステロイド薬を投与します。間質性肺炎では、抗線維化薬の内服を行います。胸に水が溜まっている場合には、針でさして液を排出させると同時に、その性質を調べます。慢性心不全では利尿薬や降圧薬を使用し、心臓の負担を減らす治療を行います。
低酸素血症(酸素の値が低い方)を伴う方や肺高血圧を有する方の場合は、在宅酸素療法を導入することもあります。在宅酸素療法が適応となる状態は以下の通りです。

在宅酸素療法の適応基準

息切れの症状が出る代表的な病気

①COPD(慢性閉塞性肺疾患)・肺気腫

①COPD(慢性閉塞性肺疾患)・肺気腫

長年の喫煙により、肺が壊れ、息を吐ききれない状態になります。男性に多く、息切れは徐々に進行していきます。初期には階段や坂道で息切れがあり、悪化すると平地を歩くのにも休み休みになり、着替えるのも息も絶え絶えになる方もいます。多くの患者様では、咳や痰などの症状を伴います。

肺機能検査(スパイロメトリ)が診断のカギになります。気管支拡張薬の吸入により息切れや痰などの症状が改善が期待できます。

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②気管支喘息

②気管支喘息

気管支喘息の息切れは、気道(空気の通り道)が慢性的な炎症によって狭くなり、空気がスムーズに出入りできなくなることで起こります。特に息を吐くときに空気が外へ出にくくなり、「息がしきれない」「胸が苦しい」と感じやすくなります。運動、冷たい空気、会話、夜間や早朝などがきっかけで悪化することもあります。息切れは咳や喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー音)と一緒に出ることが多く、適切な吸入治療で炎症を抑えることで改善が期待できます。

吸入治療(吸入ステロイド、吸入気管支拡張薬)でコントロール可能な病気です。

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③間質性肺炎

③間質性肺炎

間質性肺炎の息切れは、肺の中の「間質」と呼ばれる部分に炎症や線維化が起こり、肺が硬くなることで生じます。肺が十分に膨らまず、酸素を体に取り込みにくくなるため、特に歩行や階段昇降などの動作時に息切れを自覚しやすくなります。初期は「少し動くと息が上がる」程度でも、進行すると安静時にも息苦しさを感じることがあります。咳は乾いた咳が多く、喘息のようなゼーゼー音は目立たないのが特徴です。

CT検査が非常に重要で、早期発見で進行抑制が可能な場合があります。

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④慢性心不全

慢性心不全の息切れは、心臓のポンプ機能が低下し、全身へ十分な血液を送り出せなくなることで起こります。血液が肺にうっ滞すると肺に水分がたまり、酸素交換がうまくいかず息苦しさを感じます。初期は坂道や階段など動いた時のみ息切れが出ますが、進行すると横になると苦しくなる「起坐呼吸」や、夜間に息苦しさで目が覚める発作がみられることもあります。足のむくみや体重増加、動悸を伴う場合も多く、これらの症状があるときは早めの受診が大切です。

「肺の病気と思ったら心臓だった」はよくあります。胸部レントゲンや心電図検査、心エコー・BNP(血液検査)などが診断に有用です。利尿剤や降圧薬などの使用で症状の改善が期待できます。

④慢性心不全

⑤貧血

貧血による息切れは、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、体に十分な酸素を運べなくなることで起こります。酸素不足を補おうとして心臓や呼吸が速くなり、少し動いただけでも息が切れやすくなります。女性や高齢者の方に多く、階段昇降や早歩きで症状が目立ちやすく、動悸、めまい、立ちくらみ、全身のだるさを伴うこともあります。顔色が悪く見えたり、爪が白っぽくなることも特徴です。安静にすると比較的楽になる場合が多いですが、息切れが続く場合は原因となる貧血の種類を調べ、適切な治療を行うことが重要です。血液検査で「ヘモグロビン」という値を調べることで貧血があるかどうかが分かります。

⑤貧血

参考情報:

日本呼吸器学会HP 「坂道や階段を登る時、息が切れます」
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q10.html

Parshall MB, Schwartzstein RM, Adams L, et al. An official American Thoracic Society statement: update on the mechanisms, assessment, and management of dyspnea. Am J Respir Crit Care Med. 2012 Feb 15;185(4):435–452. doi:10.1164/rccm.201111-2042ST

院長からのメッセージ

息切れは、急激に進行していく場合、心不全・不整脈などの急を要する病気である可能性があるので、すぐに病院を受診したほうが良いでしょう。また様子を見ていても良くなる可能性が低い症状でもあるので、早めに病院を受診して相談しましょう。当院では、検査機器が充実していますので、問診・診察とあわせて的確な診断と治療を行います。

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監修 呼吸器専門医・医学博士 表紀仁

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