インフルエンザ

インフルエンザと普通の風邪はどう違う?

インフルエンザウイルスによる感染症は、咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染します(飛沫感染)。また手に付着したウイルスが口に付着することで感染することもあります(接触感染)。感染力は強く、新型コロナウイルスと同程度と報告されています。

症状は突然高熱が出て、筋肉痛・関節痛や頭痛、咳などが3−5日間続きます。一般の風邪と比較すると、筋肉痛や感染痛、頭痛、全身のだるさなどの症状が多く、熱も38度以上の高熱が続きます。

インフルエンザと普通の風邪はどう違う?

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とてもこわいインフルエンザの重症化

インフルエンザで恐ろしいのが重症化で、インフルエンザ脳症や肺炎を合併します。重症化はあまり多くありませんが、乳幼児や高齢者の方が重症化しやすく、60歳未満の若年者で重症化率が0.03%程度であるのに比較し、60歳以上の高齢者では0.79%程度起こると言われています。年齢以外にも重症化を起こしやすい因子が知られており、妊婦、持病に喘息などの呼吸器疾患を持つ方、心疾患を持つ方、慢性腎不全のある方、糖尿病のある方などです。

インフルエンザ重症化リスク因子

インフルエンザ脳症とは?

インフルエンザ脳症で見られる症状

5才以下の乳幼児期において、インフルエンザ感染した場合に注意しなければいけないのが「インフルエンザ脳症」です。インフルエンザウイルスが脳内に侵入してきて、意識障害や異常な行動、けいれんなどの症状が起こります。致死率も約30%程度と非常に高く、重篤な合併症の一つです。
インフルエンザ脳症を疑う症状は、上記のようなけいれん・異常行動・意識障害ですが、このような症状は熱性けいれんや熱せん妄でも見られます。長い時間繰り返しけいれんを起こす場合や意識状態が悪化していく場合は要注意で、入院経過観察が必要となります。 インフルエンザ脳症の発症を予防するにはインフルエンザワクチン接種が重要となってきます。

インフルエンザ後に肺炎が起きることがあります

インフルエンザ後に肺炎が起きることがありますインフルエンザが一旦よくなった後に、細菌による肺炎を起こすことがあります。特に高齢者でよく見られます。一旦解熱して数日経った後に、再度発熱し、黄色い痰・咳・息切れなどが見られた場合は、細菌による肺炎を起こしている可能性があるので病院に受診した方が良いでしょう。肺炎の治療では、抗生物質の投与が必要となります。

インフルエンザの検査

当院では、「インフルエンザ迅速検査」を行っています。綿棒で鼻の粘膜をこすって検査に出します。約10分程度で結果が判明し、A型・B型・陰性の3つの検査結果がわかります。 当院では最新のインフルエンザ抗原検査(クイックナビTM-Flu2)を使用しています。発症してから6時間以降に検査をすることが望ましいと言われています。

検査費用は健康保険3割負担で1000円程度になります。

インフルエンザの治療は?

インフルエンザ治療薬

発症からなるべく早期に抗ウイルス薬を使用しますが、症状が軽い場合は必ずしも抗ウイルス薬を使用する必要はありません。原則飲み薬のタミフルを使用しますが、薬が飲めない場合は吸入薬であるリレンザやイナビルを使用します。薬は症状が発現してから2日以内に内服します。タミフルは、48時間以内に内服した場合、熱などの症状がよくなるまでの期間を約1日短くすることができます。そのほか、解熱剤や咳止めなどの薬で症状を和らげます。ただし、ロキソニン・ロキソプロフェンなどの解熱剤(NSAIDS)は、15歳未満の小児ではインフルエンザ脳症の発生率を高める可能性があるため、原則使用いたしません。

薬剤費用はタミフル・リレンザ・イナビルのいずれも約600-750円程度です(3割負担、成人の場合、薬剤費用のみ)。

インフルエンザワクチンについて

インフルエンザワクチンの効果

インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザに感染する可能性を低下させるだけではなく、細菌による肺炎を起こす可能性を低下させます。また若い方では、休養期間を短くするという報告もあります。詳しくは、こちらを参考にしてください。

登校や出勤に関して

インフルエンザ出席停止期間(小学生以上)

感染後にインフルエンザウイルスを体外に排出する期間は、発症1日前から5日後までと考えられています。そのためインフルエンザウイルス感染後の出席停止期間は学校保健安全法によって、以下のように定められています。

  • 小学校以上:発症してから5日間経過し、かつ、解熱した後2日間経過するまで
  • 幼稚園や保育園:発症してから5日間経過し、かつ、解熱した後3日間経過するまで
    (解熱した後2日とは解熱した日を0日目と数えます)

一方で職場復帰のタイミングは、特に法的に決まっているわけではありません。多くの会社では、学校保健安全法と同様に「発症してから5日間経過し、かつ、解熱した後2日間経過するまで」を出勤停止期間に定めていますが、詳しくは自分の会社の就業規則を確認しましょう。 必要があれば、診断書を作成いたします。なお当院は登園・登校許可証(治癒証明書)の発行は無料で行っています。

よくある質問

タミフルで異常行動が出ると聞きましたが、内服しても大丈夫でしょうか?

タミフル内服時の異常行動の原因は、①熱せんもう、②インフルエンザ脳症、③タミフルの副作用の3通りの可能性があります。原因として一番多いのは熱性せんもうです。脳症は以前は年間100~200人くらい発生していましたが、現在は少なくなっています。タミフルの副作用による異常行動ついては、本当に存在するのかも現時点でもはっきりとした結論は得られていせん。ただし、2018年に厚労省は「タミフルと異常行動の因果関係は分からず、服用の有無や薬の種類で異常行動の発生に大きな差はない」と判断し、10代未成年でも使用できるようになっています。当院では、インフルエンザに感染した場合、原則タミフルを処方していますが、症状が軽い場合は解熱剤などで経過を見ることもできますし、希望があれば他の抗インフルエンザ薬で治療することもできます。

インフルエンザの検査が陰性だった場合は、インフエンザを完全に否定できますか?

当院で使用しているインフルエンザの検査キットは、陽性率が90%程度と高い陽性率がありますが、陰性であった場合に100%インフルエンザを否定できるわけではありません。そのため、インフルエンザの流行時期には後日再度検査をお勧めすることもあります。

インフルエンザの治療をしても熱が下がらない場合はどうしたら良いでしょうか?

インフルエンザを適切に診断して早めに治療を始めても、なかなか熱が下がらないことがあります。一般的には発症してから72時間程度は熱が続きますので、カロナールなどの解熱薬を使用して様子を見ましょう。ただし、インフルエンザ脳炎を疑う症状(けいれん・異常行動・意識障害)などが見られる場合や呼吸困難がある場合は、早めに病院を受診した方が良いでしょう。 問題は、「どのくらい熱が続いた場合に病院を受診した方が良いか?」ですが、5日以上高熱が続く場合は、一度病院を受診しましょう。熱が続く場合、以下の可能性があります。

  • 肺炎(細菌)を合併している
  • 抗ウイルス薬に耐性のあるインフルエンザウイルスに感染していた
  • 他の病気にかかっている

細菌による肺炎を起こしている場合は、高熱が続き、黄色の汚い痰が出ます。採血検査やレントゲン検査・胸部C T検査で診断し、抗生物質を投与する必要があります。

インフルエンザにかかった方と同居しているのですが、予防投与できますか?

可能です。ただし、予防投与は保険適応外となるため全て自費(診察・薬代)になります。予防投与は、インフルエンザの方と接触してから36時間以内に投与する必要があります。またタミフルやリレンザを使用する場合は、治療で使用する量の半分で、倍の期間使用します。予防投与を受けるには原則的には「同居する人がインフルエンザにかかっていること」に加えて、以下の条件が必要になります。

  1. 高齢者(65歳以上)
  2. 肺気腫などの慢性呼吸器疾患がある
  3. 慢性の心臓病がある
  4. 糖尿病などの慢性代謝性疾患がある
  5. 慢性腎臓病がある

上記に当てはまらないケースでも予防投与を受けることはできますが、万が一重篤な副作用が出た場合に「医薬品副作用被害旧制制度」の対象とはならず補償が受けられません。

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